家の害虫の代表的なものの一つにシロアリがいます。普段は意識することがほとんどないシロアリですが、1匹いるとあっという間に数が増えてしまい、人間が気づかない部分から食い荒らしていくため、早めに駆除をする必要があります。

そんなシロアリを見つけた時に自分ですぐにできることからプロの業者が行う駆除のやり方まで、詳しく紹介します。

目次

家を食い荒らすシロアリは主に2種類

シロアリといっても1種類ではなく、日本国内だけでも20種類以上が存在しています。
しかし、実際に人が住む家を食い荒らしてしまう種類は主に2種類のみで、ヤマトシロアリとイエシロアリといいます。
それぞれの特徴について紹介すると、まずヤマトシロアリは寒さに強く、北海道の一部を含む日本全国のほとんどの地域で見ることができます。
高山や極端に寒い地域では生きることが難しいので、ほぼ見かけることはありません。
シロアリの巣は「コロニー」と呼ばれています。
ヤマトシロアリのコロニーでは多いと2~3万匹の集団となり、主に家の1階の床下に被害をもたらします。
寒さに強い反面、暑さには弱いので夏場などは地中などにもぐりこんでいます。

イエシロアリはヤマトシロアリとは逆で寒さに弱く、暑さには強いです。
中国地方、四国地方、九州地方や沖縄など比較的暖かい地方で存在しています。
イエシロアリは、世界各国にいるシロアリの中でも一番重大な被害を出すことで知られています。
これはイエシロアリのコロニーが、最大で100万匹にもおよぶことからもわかります。
しかも、木造の建物だけではなく、コンクリート製の建造物や立木などにもコロニーを作るため、イエシロアリに狙われてしまった場合にはあっという間に被害が進行してしまうのです。
ヤマトシロアリの場合はほとんどが床下で、上層部まで被害が出てしまうことはめったにありません。
イエシロアリの場合はコロニーと餌場を蟻道でつなぎますから、表面にコロニーが見えなくても土の中に大きなコロニーがあるというケースもあります。

シロアリがこれだけ多く増えてしまうのは、餌をとる役割の「職蟻」とコロニーを守ったり、職蟻のサポートをする役割の「兵蟻」がいるため、女王蟻と王が繁殖に集中できるからです。
ちなみに、コロニーの約90%を占めているのは職蟻です。
他の仲間達のために餌を運ぶために家を食い荒らしてしまうのがこの「職蟻」なのです。
もし1万匹のコロニーだとしても職蟻は9000匹もいるわけですから、被害があっという間に大きくなってしまうというのも想像しやすいのではないでしょうか。

コロニーには女王蟻は1匹、王も1匹だけしかいません。
ただ、万が一女王蟻や王に何かあったとしてもすぐにその代わりになるべく、「ニンフ」という役割のシロアリ達がいるため、そのコロニーが自然となくなってしまうということはありません。
ニンフはコロニー全体の2~3%ほど存在していますので、ニンフが1匹死んでしまったとしてもまだまだ控えの女王候補や王候補はいるということになります。

シロアリ

自分でできるシロアリ予防

シロアリは一度発生してしまうと退治するまで増え続けてしまいます。
もちろん、その分だけ被害も大きくなっていきます。
そんな被害にあわないためには、日頃からシロアリ予防をしておくのがおすすめです。
まずはすぐにできることとして、家の周囲にある木材やダンボールなどを取り除くことから始めましょう。
シロアリは基本的に湿ったような木を好みます。庭や家の周囲に放置してある木材やダンボールなどは、シロアリにとっては良い餌場になります。不要な木材やダンボールは始末し、どうしても必要な木材があればできるだけ地面に接しないようにするのがベストです。
できれば湿気がつかないように、通風しやすい状態にしておくほうが良いです。

ウッドデッキなどがある場合も要注意です。
ウッドデッキの下は湿気がたまりやすく、シロアリにとってはコロニーを作るのに最適な環境になっている場合が多いです。
もしウッドデッキをこれから作るという場合は、加圧注入材を使って作るほうが良いです。
加圧注入材には表面から数cmくらいの深さまで薬剤が浸透しているので、シロアリなどの被害を予防することができます。
気をつけなければいけないのは、防腐防蟻処理をしてある木材を使っていても数年後にはその効果が薄れてしまうので、定期的に塗り直しておくほうが良いことです。
もし防腐剤や防蟻剤の薬剤を使っていない木材で作ってある場合は、できるだけ早く塗りましょう。

家の周囲に雑草が生えている場合も、できるだけ雑草を生やさないように工夫をします。
雑草が多いとそれだけ湿気もたまりやすくなりますし、風通しも悪いです。
雑草を抜いたら新しい雑草がまた出てこないように防草シートを敷いておくなどして、なかなか手入れをできなくても草が生えにくいようにしてあると良いです。
家を建てる時には新しい家がシロアリの標的にされないように、日当たりや風通しの良さを考えて建てるのがおすすめです。
特に家の基礎の部分には風をよく通すようにして、可能であれば日光がよくあたるようにするといいです。
通気口の前には植物のプランターなど物を置かないこともシロアリ防止のポイントです。
北側は日が当たりにくい部分なので、特に配慮しておく必要があります。
しかし、日光にあたっていれば湿気がたまらないということではないので、風通しを良くしながら日当たりも良いというのが望ましいです。

シロアリの被害に遭いやすい家とは?

シロアリは餌となる木材などがたくさんあれば匂いを嗅ぎつけてやってきます。
目が退化しているため、匂いには非常に敏感だからです。
家の周囲にシロアリの好物の木材やダンボールなどを置かないほうが良いというのは、その匂いに敏感だという性質を理解しているからこその対策なのです。
ただ、シロアリの被害に遭いやすい家の条件があるのも確かです。
たとえば床下が低く、しかも換気口が少ないと床下の空気の流れが悪くなってしまうので、シロアリにとっては好ましい住処となります。
空気の流れが悪いと湿気もたまりやすくなります。

湿気が多い場所は室内でもカビが生えやすく、独特の湿気の匂いを感じるのでわかりやすいです。
押入れなどでカビがすぐ生えてしまうという場合は床下の通気性が悪く、湿気が多いという可能性が非常に高いです。
もし家のどこかでカビが生えているようであれば、シロアリを寄せつけやすい家なのだと考えておくほうが良いでしょう。
できるだけ早い段階で湿気対策をとるなど、家の状態が改善されるように行動するほうがいいです。
湿気が多くなりやすい条件として、家の周囲に井戸や川、池など水気が多い場所があることがあげられます。
これはその土地の地下水の水位が高いということなので、土の中に含まれている水分が多く、家の床下や室内なども湿気が多くなりがちです。

あまり広くない庭にたくさんの植木や鉢植え、花壇などを作っている場合もシロアリが好む環境を作ってしまっています。
これらが庭にあると美しいのですが、狭い庭の場合は土の中に水分が集まってしまう原因になるため、湿気が多くなります。
また、シロアリがコロニーを作りやすい状態につながります。
家の垣根や塀などに使っているのが木材の場合もシロアリが近寄ってくる原因になります。
塀や垣根などは地面と直接木材が接しているので、シロアリにとっては良い餌場です。
木製の塀や垣根などが家の建物自体とほとんど距離がない場合には、さらに被害が出やすくなります。
家から2~3mほどしか離れていない場所に垣根などを作ってしまうと、水あげをしなければいけない時に家の周囲の土の水分が増えてしまうので要注意です。

家

プロの業者にシロアリの駆除を依頼しよう

シロアリの駆除については市販の薬剤を使えば自分達でもできることはありますが、効果的な正しい薬剤の使い方をしないとシロアリに対して効果を発揮することができません。
土の中にコロニーがあった場合にも見つけるのは意外と困難です。
そういう意味では、シロアリがいるかもしれないと感じたら早めにプロの業者に駆除を依頼するのがおすすめです。
まずは本当にシロアリの被害があるのかを確認してもらいましょう。
最近の新築の家では、建築の際にシロアリ対策もしっかりとられていることが多いです。
しかし、薬剤などは5年もすれば効果がほとんどなくなるほど薄まってしまうので、再度薬剤などを使って対策したほうが良いといわれています。

プロの業者が行う駆除のやり方は2種類あります。

1つは「バリア工法」といって、シロアリが近寄ってこないようにバリアをはるという方法です。
床下に専用の薬剤を散布して、さらに餌となる木材にも薬剤を注入します。
この方法はすでにシロアリの被害が出ている場合に緊急的に行える方法で、現在いるシロアリの駆除にも効果的です。
作業は、家の広さにもよって3~7時間程度必要となります。

もう1つは「ベイト工法」と呼ばれるやり方です。
ベイトというのは餌のことで、シロアリのコロニーごと全滅させる目的で行います。


ベイト工法はさらに管理型と駆除型があります。
シロアリがいる気配がある場合は、最初に駆除型でシロアリがいる辺りに毒入りの餌を取り付けて駆除します。
事情によってバリア工法を行うことができない場合に向いているのが駆除型です。

すでにいるシロアリを駆除できたら、次にするのは管理型のベイト工法です。
庭を含む家の周囲に毒入りの餌を仕込んだ容器を土の中に埋め込み、シロアリを巣ごと全滅させるための方法です。
長期戦で行う必要があり、仕込んだ餌をシロアリが完全に食べている様子がなくなるまで続けられます。
この様子見は少なくとも1~3カ月間はしなければいけません。

まとめ

シロアリ被害が出ている場合は、効果的なやり方を行うという意味でもプロの業者に依頼をするほうがおすすめです。
プロの業者は家の状態によってバリア工法もしくはベイト工法というやり方で根本的な駆除をしますから、被害をそれ以上大きくせずにすみます。

家の周囲にシロアリの餌となる木材やダンボールなどを置かないようにするだけでもシロアリ被害の予防につながりますので、実行してみましょう。