シロアリは、家を食い荒し住宅に大きな被害をもたらす害虫として知られています。
一方でシロアリは良質なたんぱく質を豊富に含んでいるため、鳥類や昆虫が餌として好む虫でもあります。

そのため、シロアリの周りには意外と天敵が多いことが知られています。
この記事では、シロアリの天敵についてご紹介します。

目次

シロアリを食べる天敵

肉食の昆虫であるクモは、シロアリの天敵です。益虫として知られるハエトリグモは、獲物を見つけるとジャンプして捕食します。巣を張らず、餌に向かって飛び掛かるのが特徴です。
また、ゴキブリを食べることで有名な大きな体のアシダカグモも、シロアリを食べます。基本的に巣を張らない活動狩猟型のクモであれば、シロアリの天敵と考えておいてよいでしょう。
もちろん、巣を張るタイプのジョウロクモなども、シロアリを捕まえます。シロアリの羽アリは、風に流されながら飛行移動しています。
そのため、風に流された先にクモの巣があれば捕まってしまい、逃げることができません。

また、カエルもシロアリの天敵です。ペットショップでは、生きたシロアリがカエルの餌として販売されています。
シロアリはサイズが小さく、カエルが捕まえて食べやすいことに加え、栄養価が高いという点からもカエルの餌として好まれています。
鳥類だと、ツバメなどもシロアリを食べます。4月~5月頃、シロアリの羽アリは集団で高いところから飛び出し、明るい照明などに群がることがあります。このとき、シロアリを捕食するためにツバメなどの鳥類が集まってくるのです。

意外なことに、アリもシロアリを食べます。同じアリに見えますが、クロアリは蜂の仲間で、シロアリはゴキブリの仲間であるため、生物学上のつながりは何もないのです。
クロアリは肉食のため、シロアリを見つけたら集団でシロアリを囲んで捕食します。クロアリより大きなシロアリであっても、クロアリに遭遇するとほぼ確実に捕食されてしまうのです。
これらの他にも、ヘビやトカゲなどの爬虫類やアリクイ、もぐら、ゲジゲジなど、虫を食べる肉食の生物のほとんどがシロアリの天敵といえます。

シロアリが天敵から身を守る方法

では、身の周りに天敵だらけのシロアリが、どのように身を守っているのでしょうか。
シロアリの集団の中には、外敵から巣を守る役割の兵アリがいます。兵アリは自分で餌を取りにいかず、基本的に普段は何もしません。
しかし、いざというときに戦って巣を守るのです。この守り方が、シロアリの種類によってそれぞれ異なります。

イエシロアリの場合、集団における兵アリの割合は高めです。攻撃的な性格なので、巣が壊されると積極的に敵に向かっていきます。兵アリが集団となり、敵にかみつきます。
そして、乳液状の分泌物を出して攻撃するのです。巣を中心に活動する種類のため、巣を手放して逃げることはありません。

ヤマトシロアリの場合、兵アリの攻撃性が低いのが特徴です。敵が来ると、他のシロアリと一緒になって逃げてしまうのです。
イエシロアリとは違って、生息場所にこだわりがなく、巣が固定化されていません。そのため、攻撃されると巣を捨てて逃げてしまいます。
しかし、いざとなると仲間のシロアリが通る狭い穴を兵アリが体でふさぎ、他のシロアリが逃げるための時間稼ぎをします。

シロアリが絶滅しないのはなぜ?

天敵が多いにも関わらず、シロアリはなぜ絶滅しないのでしょうか。これは、シロアリの生態にも大きな要因があります。
シロアリは皮膚がかなり薄く、数分間日光に当たると、体中の水分がなくなり、あっという間に干からびて死んでしまいます。そのため、外気に触れるのを避けようと、湿った土や木の中に穴を作り、その中だけで生活しています。

人間が目にするシロアリは、一定期間のみ現れる、巣から飛び立っていくシロアリの羽アリです。これは、シロアリ全体の1%にも満たない数で、シロアリの多くはほとんど目につかない場所で暮らしています。
そのため、天敵であるクモやクロアリ、カエルなどに遭遇する機会もほぼありません。

農業や園芸においては、害虫が発生したする時期に天敵となる他の生物を放って害虫対策をすることがあります。これは生物的防除と呼ばれ、害虫対策に有効な方法として知られています。
しかしシロアリにおいては天敵を放ったとしても、天敵の手も及ばない家の建築材の中で被害が進んでいるため、駆除効果を期待するのは難しいでしょう。

まとめ

シロアリの対策をするならばやはりシロアリ駆除業者に依頼するのが一番です。天敵を飼育したとしても根本的な解決にはならないどころか、被害を抑えることも難しいでしょう。
逆にこれまでに紹介したような天敵たちが住宅の敷地内で増えるようなことがあれば、シロアリの巣が近くにつくられている可能性もあります。

シロアリの痕跡がないか確認したり、業者に相談するなどして被害が広がる前に早めに対応するようにしましょう。