アリには、害のない通称・クロアリ、住居の木材などを食い荒らす有害なシロアリの他に、羽のついた羽アリという種類が存在します。
羽アリはクロアリに比べてそれほど頻繁に見かけることがないので、羽アリのことをシロアリと思っている人もなかにはいることでしょう。

しかし、羽アリにはシロアリのような害のあるタイプとそうでないタイプが存在するのです。
今回はどのような羽アリが有害なのか、その見分け方などを紹介します。

目次

なぜ羽のあるアリが存在するの?

なぜアリは羽があるタイプとそうでないタイプが存在しているのでしょうか。
クロアリの場合、羽のないアリは通称「働きアリ」と呼ばれるタイプで、性別はメスに分類されます。
それに対し羽のあるアリはオスのアリ、そして、女王アリです。
女王アリは、旅立つ季節になるとオスアリたちを引き連れてアリの巣を出ます。
旅立つ女王アリは新しい個体の処女アリで、新しい巣を開拓するために旅立つのです。
飛行中に女王処女アリは、多くのオスアリと交尾を行い精子を体内に貯蔵します。
オスたちは交尾に力を使い果たしてしまい、新しい土地に辿り着いたときにはオスアリはみんな死んでしまい、残ったのは女王アリ1匹です。

女王アリはたどり着いた新天地で、まず羽をもぎ取り通常のクロアリとなります。
そこで最初に行うのが、自分の住居となる簡易的なアリの巣づくりです。
そして、ある程度の巣ができあがったら、最初の産卵を開始します。
生まれたオスアリは巣を守り、働きアリは食料の確保など一生懸命に働き、その間、女王アリはさらに産卵を続けます。
そして、アリの巣はどんどん拡大してその土地に根付くようになるのです。

ですから、羽のあるアリを見かけた場合、女王処女アリとその家来のオスアリたちが新天地を求めて旅立とうとしている季節だといえます。
シロアリの場合の交尾は、羽をもぎ取ったあと、オス・メスのペアで巣の中で行います。

羽アリ

その羽アリはシロアリ?クロアリ?

羽アリは、一定の時期になると集中的に発生します。
大量発生したらその付近にアリの巣があるということです。
しかし、その羽アリをシロアリと決めつけてはいけません。
焦らずにまずはその羽アリがシロアリなのか、そうでないのか見極めることが大事です。

シロアリかどうか見分けるには、その形状に注目しましょう。
シロアリとクロアリの形状の違いに注目する部位は、触覚、胴、羽の3点です。
触覚は、シロアリの場合は前方にまっすぐ伸びています。
そして、よく見てみると球状のものが連なって数珠のような形状です。
クロアリの場合は、針金のような細い形状で外側にくの字型に伸びています。
胴体は、シロアリの場合、太く寸胴でくびれがない形状で、クロアリは細く腹部がくびれている形状です。
羽は、シロアリ・クロアリとも前後に羽がありますが、シロアリの場合は前後とも同じ形の羽根です。
しかし、クロアリは、前の羽のほうが大きいのが特徴です。

また、発生する時期もシロアリ、クロアリは異なります。
羽シロアリが発生する時期は、ヤマトシロアリは4〜5月、イエシロアリは6~7月ごろです。
それに対し羽クロアリは6〜11月ごろに発生します。
羽アリを見かけたら、まずは羽アリの形状、そして時期を見てシロアリかどうか判断する必要があります。
クロアリの場合は、羽アリであっても、人間や住居に被害を与えることはありません。

大量発生しても慌ててはいけない!

シロアリが住居の床下などに生息していた場合、春〜初夏の季節になると数百匹以上もの羽シロアリが大量発生します。
大量発生するということは住居の見えない場所にシロアリの巣があるという証拠です。
羽シロアリが発生した場合、大量の羽シロアリを見ても慌ててはいけません。
やるべきことは表に出た羽シロアリの処分、そして、羽シロアリが出てきた出口を探すことです。

大量発生した羽シロアリの退治は、殺虫剤などで行います。
羽シロアリの死骸は掃除機で吸い取ると処分をスムーズに行うことが可能です。
その際、死骸は処分せずに2〜3匹保存しておきましょう。
後日、シロアリ駆除の専門業者に依頼をしたときに参考として提出するためです。
そして、羽シロアリがどこから出てきたのかを突き止めることも重要です。

ここで大事なのは、羽シロアリが発生する穴などを突き止めた場合、自分で退治をしないことです。
その穴へ殺虫剤や熱湯などを流し込んで、穴の奥にあると思われるシロアリの巣に打撃を与えないようにしましょう。
後日、シロアリ駆除業者が駆けつけたときに、かえって巣の駆除がやりにくくなるからです。
よって、羽シロアリが発生する穴などを発見したときは、下手に手を加えずにガムテープなどで穴をふさぐ程度にとどめておきましょう。

羽シロアリの大量発生は、しばらくすると落ち着きますが、シロアリの巣はまだ残っています。
シロアリを完全に駆除したい、あるいは、シロアリかそうでないアリなのか自分では判別できない場合は、専門業者に相談をしましょう。
発生時の詳しい状況、サンプルとして保存していた羽シロアリの死骸を提出して専門家に調べてもらうことが重要です。

まとめ

羽アリが大量発生した場合、すぐに住居に被害を与えるシロアリと決めつけずに、その形状などを見てシロアリかどうか判別する必要があります。

もしシロアリと発覚した場合、シロアリの巣の駆除は素人には難しい行為なので、シロアリ駆除の専門家に見てもらうことが最良の解決策となります。
専門家でしか使用できない薬剤などを使っての駆除作業なので、確実にシロアリ駆除を行ってくれます。