日本における所得税および個人の住民税に対する所得控除制度のひとつに「雑損控除(ざっそんこうじょ)」があります。
シロアリの駆除費用や、柱や床の修繕にかかった費用も、確定申告の際に雑損控除として申請すると、所得控除が受けられます。

この雑損控除とは何か、また申請するために満たすべき条件や控除金額の計算方法、手続き方法についても解説していきます。

雑損控除の適用条件とは?

雑損控除は、次のような事態に見舞われた場合に、所得控除が受けられるというものです。

  1. 1.震災、風水害、冷害、雪害、落雷など、自然現象の異変による災害
  2. 2.火災、火薬類の爆発など、人為による異常な災害
  3. 3.害虫などの生物による異常な災害
  4. 4.盗難
  5. 5.横領

上記のような、予期できない災害や被害にあった場合に適用される控除です。
シロアリ被害は3番の条件に該当します。
なお、シロアリの駆除ではなく予防にかかった費用は、雑損控除の対象にはなりません。
また、損失額が大きすぎて、その年の所得金額から控除しきれない場合には、3年間に限り翌年以降に繰り越して、所得金額から控除することができます。

控除を受けられる人と対象の資産に関しては、次のように定められています。

(1) 資産の所有者が次のいずれかであること。

  • イ 納税者
  • ロ 納税者と生計を一にする配偶者やその他の親族で、その年の総所得金額等が38万円以下の者。

(2) 棚卸資産若しくは事業用固定資産等又は「生活に通常必要でない資産」のいずれにも該当しない資産であること。

国税庁 No.1110 災害や盗難などで資産に損害を受けたとき(雑損控除)より引用

「棚卸資産」とは、販売を目的として保有している資産で、店舗が持つ在庫品などを指します。
「事業用固定資産」とは、不動産所得・事業所得・山林所得を得る事業のために用いられる、自動車や機械などの固定資産、その他これに準ずる資産を指します。
「生活に通常必要でない資産」とは、別荘などの趣味・娯楽・保養または鑑賞の目的で保有する不動産や、貴金属、書画、骨董など、1個または1組の価額が30万円超のものなど、生活に通常必要でない動産、つまり贅沢品と言われるものを指します。

上記の条件に該当しない一般家屋の修繕に要した費用であれば、問題なく控除の対象になります。

控除金額と計算方法

次の計算式で算出される金額のうち、どちらか多い方が控除されます。

  1. 1.(差引損失額)-(総所得金額等)×10%
  2. 2.(差引損失額のうち災害関連支出の金額)-5万円

多くの場合、2番目の計算式が用いられます。
シロアリ駆除の場合に例えると、駆除費用10万円+修繕費用20万円-5万円=25万円が所得控除されます。

「災害関連支出の金額」とは、災害により滅失した住宅・家財などの取り壊し、または除去するために支出した金額などです。
シロアリ被害の場合は、駆除費用と修繕に要した費用がこれに該当します。

「差引損失額」の計算は、次のように算出します。

損害金額 +災害等に関連した、やむを得ない支出の金額-保険金などにより補てんされる金額=差引損失額

雑損控除の申請手続き

確定申告書に雑損控除に関する事項を記載すると共に、災害に関連した支出金額の書類も見せる必要があります。
給与所得がある場合は、給与所得の源泉徴収票も添付します。

所得金額500万円以下なら所得税が全額免除、500万円以上750万円以下の場合は2分の1の軽減、750万円以上1000万円以下なら4分の1の軽減となります。

また、所得金額が1000万円を超える人が利用できるのは、雑損控除のみとなります。

まとめ

シロアリ被害に遭って駆除費用や修繕費用がかかった場合は、雑損控除という税制面での優遇制度を是非活用しましょう。

決して馬鹿にはできない金額が控除されることになります。