建物であれば構造や築年数に関わらず、シロアリ被害に遭う可能性があります。
しかし、特に飲食店など衛生面での徹底管理が求められる店舗にとっては、シロアリの駆除や予防は喫緊の課題です。
「羽アリが飛んでいた」「所々床がブカブカしている」「この店もしかしてシロアリがいるの?」などとお客さんに言われてしまっては、お店として非常にまずい状況です。
悪いウワサほど瞬く間に広まってしまうものです。
一度広まった悪評は、完全に払拭するのはほぼ不可能でしょう。

シロアリに営業妨害をされないためにも、飲食店におけるシロアリの駆除方法と、普段から実践できる予防方法を確認しておきましょう。

目次

店舗におけるシロアリ駆除の方法

一般家庭におけるシロアリ駆除では、床下などシロアリが発生している箇所に薬剤を直接散布する「バリア工法」と、家の外に薬剤の入ったえさを埋める「ベイト工法」があります。
一般家庭の場合は、費用の安さや即効性を見て、多くの場合「バリア工法」が選ばれる傾向にあります。
しかし店舗では、床下と言えど薬剤を撒くのは憚られる場合があります。
特に飲食店などではお客さんの滞在時間も長い上、臭い対策や清潔さに対する基準も高いものが要求されます。
かすかに残る薬剤のにおいやアレルギー体質の人への影響を考えると、薬剤散布での駆除は難しいでしょう。
そのため、一般家庭とは反対に店舗では多くの場合「ベイト工法」が用いられます。

施工の手順は、以下のようになります。

  1. 1.シロアリの生息域を調べ、数か所に薬剤入りのえさを入れたベイト容器を設置。
  2. 2.2週間~3週間程度でベイト容器を確認。えさの喫食状況や、発見できればシロアリ本体の動きなどを確認する。
  3. 3.シロアリの死滅もしくはえさが減らなくなったことを確認するまで、えさを追加し様子を見る。
  4. 4.シロアリの死滅を確認したらベイト容器の撤去。再侵入を防ぐ工事を行う。

4の段階まで完了するのに、2~3ヵ月の期間が必要です。
ベイト工法は、シロアリ自身が巣まで薬剤を持ち帰ってくれることが狙いの駆除方法です。
そのため、シロアリの活動が活発な4月から10月頃の施工が特に効果的でスピーディとされています。
それ以外の季節の場合、巣の死滅まで3ヵ月以上の期間が必要な場合もあります。

日頃から実践できる、シロアリの予防方法

実際に発生してしまってから慌てるよりも、発生を未然に防ぐ努力をするのは賢明なことです。
しかし、どこにでもいるシロアリを寄り付きにくくする方法など、あるのでしょうか。
「シロアリは木に寄ってくる」というのも本当ですが、雑食であり悪食な虫ですから、木以外にも様々なものを食い荒らします。
店舗にありがちなもので考えると、以下のようなものはシロアリに食われる恐れがあります。

  • ・紙類や段ボール
  • ・発泡スチロール

紙や段ボールにはセルロースなどシロアリにとっての栄養分が豊富に含まれているため、意外と狙われる素材です。
店舗であれば、倉庫などに溜め込まれることもありがちですので注意が必要です。
特に飲食店では、屋外に段ボールが積まれることがあるでしょう。
土壌に近い場所に置くのはシロアリをわざとおびき寄せるようなものですから、紙類を外へ保管するのは絶対にやめましょう。

発泡スチロールも、店舗でよく使用されるものです。
まさかシロアリが食うとは思いにくい素材ですが、シロアリは基本的にかじれるものなら何でも食べると考えましょう。
発泡スチロールも外に放置されることが多い素材です。
シロアリがそれを目がけて集まり、店舗に群がるきっかけにもなりますので注意しましょう。

ちなみに和風テイストの飲食店などでは、畳も頻繁に点検した方が良いでしょう。
畳は木材と並んで、シロアリの大好物です。
表面が綺麗でも、裏返すとボロボロだったということもあります。

まとめ

シロアリは地上ならどこにでもいるものですから、完全に防ぐのは不可能と思っていた方が良いでしょう。

お店のオープン当初から、建物周辺や店舗内の整理整頓やベイト剤の設置など、しっかりとした予防や対策をして細心の注意を払いましょう。
予防も対策もせずにシロアリが発生し、その第一発見者がお客さんだったとしたら、最悪の事態です。
お店の信用や評判は地に落ちてしまうでしょう。

被害が軽度であったとしても、シロアリが出て来てから対策しては遅いです。
たくさんの想いと努力の結晶である大切なお店ですから、徹底した事前の対策を心がけましょう。