シロアリを発見した場合は、一刻も早く駆除をしてしまわないと建物に深刻な被害を与えてしまう恐れがあります。
その際、最も確実な方法は専門業者に駆除を依頼することです。しかし、信頼できる業者を探して依頼となると、時間やコストがかかるため、まずは自分でなんとかしてみたいと考える人も多いのではないでしょうか。
そこで、自力でシロアリに対処する方法とその際の注意点などについて解説していきます。
目次
被害拡大の恐れも!殺虫スプレーの使用はNG
シロアリの生命力は決して強いものではありません。
直射日光に数分当たっただけでも、体から水分が失われて死んでしまうほどです。
また、殺虫剤に対する耐性もあまりなく、多くの場合は簡単に退治することができます。
しかし、だからといって殺虫スプレーを散布して撃退しようとするやり方はおすすめできません
スプレーで退治できるのは、あくまでも表層部分にいる一部のシロアリだけです。
生き残った大部分は家の奥深くへと逃げ込み、より一層駆除が困難になってしまいます。
そして、根本的な駆除ができないからといって、何度もスプレーを散布していると薬剤被害の危険性が増大していきます。
特に、抵抗力の弱い小さな子どもやペットのいる家庭では注意が必要です。
一方、巣立ちの時期になると羽アリが大量に発生しますが、これを殺虫スプレーで処理するのも問題があります。
殺虫剤でベトベトになった羽アリが壁や床にへばりつき、掃除するのが大変になるからです。
もし羽アリが大量発生した場合は、掃除機で処理をするのがおすすめです。
羽根があっても羽アリは蝶やハチのように素早く飛び立てないので、掃除機で簡単に吸い取ることができます。
それに、掃除機なら部屋を汚すこともありませんし、羽アリ自体も吸引の際に生じる圧力によって簡単に死んでしまいます。
仮に生き残ったとしても、水分補給ができないので長くは生きられません。
いずれにしても、殺虫スプレーは場当たり的な対処法にしかならないことを覚えておきましょう。

薬剤処理とベイト工法!互いのメリットとデメリット
シロアリを駆除する有効な方法としては、大きく分けて薬剤処理とベイト工法の2種類があります。
薬剤処理というのは、床下の木の部分や基礎部分に薬剤を散布して、家にシロアリを近寄らせないという方法です。
この方法は即効性があり、コストも安くて済むという利点があります。
それに、床下に生息するゴキブリやムカデといった他の害虫にも一定の効果が見込めるという副次的なメリットも期待できます。
ただし、薬剤を直接散布するため、臭いが気になり、健康に対する不安も残ったりするのが難点です。
また、建築物の構造によっては、処理自体が困難な場合もあります。
それに対して、ベイト工法で使用する脱皮阻害剤は哺乳類には害がないとされており、使用する量も少ないので健康に対する不安を感じなくてすみます。
そのうえ、ほとんどの建築物に対して対応が可能なのも大きな利点です。
そして何より、確実にシロアリを壊滅状態に追い込めるので、再発リスクが少ないという点が魅力的です。
その代わり、コストは高めで効果が現れるまでに時間がかかるというデメリットがあります。
したがって、シロアリ駆除を行う場合は両者を比較し、より状況に適した方法を選択するのが賢明です。
水回りを重点的に!薬剤処理の方法
薬剤処理には、土壌処理と木部処理の2つの工程があります。
まず、土壌処理剤を床下の土の部分、基礎部、束石、配管などに散布します。
台所、トイレ、風呂、洗面所などの床下は、湿気が多くてシロアリの集まりやすい場所なので特に念入りに処理をしておきましょう。
また、その際には基礎部と土が接する部分や蟻道の近くに小さな穴を掘って、薬剤が溜まるようにしておくとさらに効果的です。
一方、木部処理というのは、床下の土台、大引き、根太、束といった木の部分に、シロアリ駆除用の木部乳剤を塗りつける作業です。
こちらも水回りは重点的に処理を施します。
さらに、被害状況が大きい場合は、土台や束に50~100センチ間隔で穴を開けて直接薬剤を注入します。
柱の継ぎ目やひび割れの周辺などにも注入しておくとより効果的です。
配管や配線に気を付けて!ベイト工法の方法
ベイト工法は、ステーションと呼ばれる容器に入った毒餌を働きアリに持ち帰らせて、シロアリをコロニーごと壊滅させる駆除方法です。
まず、家の基礎部分から20~30センチ離れたところにステーションが頭だけ出るようにして埋めます。
同時に、木部の被害個所の近くにも養生テープを使ってステーションを固定させます。
ただし、床下には配管、配線、釘などがあるため、設置の際は十分気をつけてください。
ちなみに、ベイト工法に近いものとして、蟻道や食害にあった場所に粉剤を散布し、シロアリに付着させるという方法もあります。
シロアリはグルーミングを行う習慣があるため、付着した薬剤は巣全体に広がって全滅に追い込まれるというわけです。
まとめ
シロアリの駆除を自分で行う場合、くれぐれも殺虫スプレーを使おうとは考えないでください。
逆に被害が拡大してしまう恐れがあります。
有効なのは薬剤処理とベイト工法です。
それぞれメリットとデメリットがあるため、状況をよく見極めて選択するようにしましょう。
ただし、自力でのシロアリ駆除は不可能ではないものの、かなりの困難を伴います。
シロアリの多くは私たちの目の届かない所にいるため、駆除したように見えても生き残りが潜んでいる場合があるからです。
したがって、より確実に駆除をしたいという場合には、駆除業者などの専門家に相談することをおすすめします。