シロアリと一言でいってもその種類はさまざまで、現在地球上には約2500種類、日本にはおよそ22種類のシロアリが生息しているといわれています。
家屋などに被害をもたらすシロアリを退治したいと考えている場合には、まずシロアリの種類を把握することが必要です。
種類によって取るべき対策が変わってきます。
そこで、数ある種類のなかでも主に被害をもたらすシロアリの種類と見つける方法について紹介します。
目次
そもそもシロアリとは?
シロアリは、生活様式や姿形が黒アリに似ていることから、白いアリという意味で名前が付けられた昆虫です。
ただし、正しくはアリではなく、ゴキブリやカマキリなどに近い分類となっています。
シロアリの特徴の1つとなっているのが栄養源です。
樹木に含まれているセルロースという繊維を分解し摂取することで、自らのエネルギーを得ています。
また、階級社会を持っているという点もシロアリの特徴の1つです。
階級は大きく分けて、女王アリと王アリによる生殖階級、働きアリ階級、兵アリ階級があります。
生殖階級は幼虫を産むために交尾を繰り返し、産卵を行う役目をもった階層です。
働きアリ階級は、シロアリ全体の9割以上を占め、主に巣作りや食物の採取・運搬といったことを行っています。
そして、兵アリ階級とは、外的から守る防衛を役目としたアリたちの階層となっているのです。
それぞれの役目を持って集団で生息するシロアリは、1匹見つけたら数多く生息している危険があります。
さらに、長生きする虫ともいわれているため、発見したら迅速な対策が求められるのです。

最も多く見られるヤマトシロアリ
家屋などの建物に被害をもたらすシロアリのなかで、最も多く存在しているのがヤマトシロアリという種類です。
ヤマトシロアリは、比較的寒さに強いという性質があることから、北海道の北部を除いて日本全国さまざまな地域に生息しています。
大きさは階級によって異なり、女王アリの場合、大きいものだと15mmほどのサイズです。
他の階級は女王アリと比べると小さく、兵アリは3.5~6mm程度、働きアリは3.5~5mm程度となっています。
見た目は、足先や体の一部だけ黄色い箇所が見られるものの、全体的には、やや黒っぽい色をしているのが特徴です。
また、女王アリの候補として生まれるシロアリは、成長して羽が生えてくると羽アリと呼ばれ、通常4~5月ごろに飛来します。
このため、この時期に透明の羽をはやした黒っぽい虫がたくさん見られたら、ヤマトシロアリと疑うことが必要です。
ヤマトシロアリの巣を見つけるためには、湿気のあるところを中心に探すことがポイントとなります。
家屋内であれば、たとえばお風呂場や洗面所、キッチンといった水回りに近い場所が多く見られる行動エリアです。
ただし、固定した場所に巣を作らずエサを求めて移動するため、被害場所に必ず生息しているとは限らないことも知っておきましょう。
食害スピードがすごいイエシロアリ
ヤマトシロアリに次いで多く見られるのが、イエシロアリという種類です。
イエシロアリは比較的温暖な地域に生息していて、国内では太平洋側の海岸沿いや南西諸島、小笠原諸島といったところが分布場所となっています。
大きさはヤマトシロアリよりも大きめで、女王アリの場合だと大きいもので4mmくらいのサイズです。
特徴としては、ヤマトシロアリが黒っぽい色をしているのに対して、イエシロアリは茶褐色をしています。
また、特に兵アリの頭部に特徴があり、細長い形をした頭を持つヤマトシロアリに対して、イエシロアリの頭は卵型です。
そして、生活様態についてヤマトシロアリと大きく異なる点に、巣作りの性質があります。
ヤマトシロアリは巣を移動させる習性がありますが、イエシロアリは1つの場所に大きな巣を作り、規模の大きなコロニーを作るという点が特徴的です。
その数は大きなもので100万匹以上にもなるため、一度家屋に住みつくと甚大な被害となります。
イエシロアリは巣を中心にして行動エリアを広げていくため、見つけるためにはまず巣を探すことが必要です。
ただし、水を運ぶ能力があるため、ヤマトシロアリとは異なって湿気のないところも広範囲で探すことが必要となります。
また、羽アリは6~7月の夕方以降に飛来する習性があるため、この時期に見かけたら注意する必要があります。
一部の地域に出没する外来種!アメリカカンザイシロアリ
ヤマトシロアリとイエシロアリの日本の2大シロアリとは別に、一部の地域で見られる外来種もいます。
アメリカ産のアメリカカンザイシロアリです。
アメリカカンザイシロアリが発見されているのは、東京、千葉、神奈川、大阪、広島、鹿児島など24の都府県となっています。
ただし、分布地は今後広がる可能性もあるため注意が必要です。
アメリカカンザイシロアリは2大シロアリとは異なり、地下ではなく乾いた木材の中で生活する性質があります。
1つの巣に生息する個体数は少ないものの、1個体のサイズがヤマトシロアリの倍近くもあるため、家屋などの食害は甚大です。
見た目の特徴としては、体全体が黒く、頭や背中に赤い褐色系の色が入った外見をしています。
見つける際の目安にするとよいでしょう。
特に、6~10月頃の気温が高い日の日中には羽アリが活動しやすくなるため、見かけたら注意が必要です。
ただし、基本の生活が材中となっているため、発見が難しい種類ともいわれています。
まとめ
シロアリは小さい体でありながら、家屋などに甚大な被害をおよぼす虫です。
集団で生活をしているため、被害への対策を行う場合には徹底的に退治することが必要となります。
専門的な知識を持って慎重に対策をとることが必要となりますが、早期発見をするためにも、まずはシロアリが種類ごとに持つ特徴を知り、普段から気をつけておくように心がけておきしょう。