シロアリは住宅を食い荒らす恐ろしい生き物です。
しかも、表にはめったに姿をみせないので、暮らしている人が気付かないうちに家をボロボロにしてしまいます。

しかし、それは木造住宅の場合であって、鉄筋コンクリートのマンションや軽量鉄骨の住宅には関係のない話だと思っている人も多いのではないでしょうか。
それは大きな間違いです。実は、木造住宅以外の建築物でも、シロアリの被害にあう可能性は十分あるのです。

その理由と対策などについて解説していきます。

目次

すべてが金属でつくられているわけではない!鉄骨の家にシロアリが住み着く理由

確かに、シロアリの被害が多いのは木造住宅ですが、鉄筋や鉄骨で造られた建物なら絶対に安全だというわけではありません。  
それは、そういった建物にも木材は使われているからです。

たとえば、鉄骨住宅では土台、大引き、束、柱、筋交い、梁などといったものは鉄材が使用されている一方で、合板や間仕切り壁、床根太、建具などといったものには木材が使用されているケースがしばしばあります。

それでも、住宅の主要部分に木材が使われていないので、深刻な事態になることはあまりないでしょう。  
しかしその反面、木造よりも丈夫で閉鎖的な構造をしているため、駆除がしづらいという難点があります。

それに、建物に致命的なダメージを与えないから、気にしなければ大きな問題にならないというわけでもありません。  
鉄骨の家でも床を支える床材は木材を使用しているケースがほとんどです。その部分が食い荒らされると、床がきしむ、フカフカとして歩きづらいといった現象がでてきます。

そして、最悪の場合には床が抜け落ちるということにもなりかねないのです。

鉄骨住宅のシロアリ被害チェックのイメージ

食い荒らすのは木材だけではない!シロアリの厄介な習性

シロアリは視覚を持たず、触れたものに沿って進んでいくという習性があります。  
そのため、建物の土台がコンクリートでも、収縮してできた隙間やひび割れ、配管を通す穴などから建物の中に侵入していきます。  
そして、木材の使われている部分に行き当たると、仲間が集まってきて一斉に食い荒らし始めるというわけです。

おまけに、シロアリが食べるのは木材だけではありません。  
本来、シロアリは食性の幅が広い生き物であり、木材の他にも衣類、農作物、書籍、プラスチックなどが被害にあう可能性があります。  
さらに、場合によってはコンクリートや柔らかい金属すらも食べてしまいます。
特に、発泡スチロール製の断熱材はシロアリの大好物です。

もっとも、断熱材自体にはシロアリの栄養となる成分は含まれていません。
しかし、柔らかくてシロアリが前進を続けやすいため、こうした素材の中に好んで巣を作る傾向があるのです。  
そのため、シロアリによって断熱材をボロボロにされてしまったというケースがよくあります。

シロアリの侵入経路をシャットアウト!一本打ちのメリット

鉄骨の住宅がシロアリの被害にあう確率は、その建物の基礎をつくる際にどういった手法を用いるかによっても変わってきます。

ちなみに、新築住宅施工の際によく用いられるのが、ベタ基礎と呼ばれる手法です。  
この手法の場合、まず地面にベース部分となるコンクリートを打ち、それが固まってから、その上にさらに立ち上がり部分を積み重ねていきます。

しかし、それではどうしてもベース部分と立ち上がり部分の継ぎ目に隙間ができてしまいます。  
そして、その隙間がシロアリの侵入経路となってしまうのです。

この問題を解消する方法としては、一本打ちがあります。  
これは、ベース部分と立ち上がり部分を同時につくるという手法であり、両者の間に継ぎ目そのものが存在しないので、シロアリが入ってこられないというわけです。

また、そのうえで基礎部分を高くし、日当たりと風通しのよい床下をつくれば、乾燥に弱いシロアリは近づきにくくなりますし、定期的な点検が行いやすくもなります。

ただ、一本打ちを行うには高度な技術が必要となり、傾斜の角度などによっても施工可能かどうかは変わってきます。  
したがって、家を建てる前にはそうしたポイントについても業者としっかり話し合っておくことが大切です。

シロアリ撃退のための2つの手法!ケミカル工法とベイト工法!

すでに建築済みの家をシロアリから守るためには、防除工事を行うという手があります。

防除工事の手法としてよく用いられるのが、ケミカル工法とベイト工法の2つです。

まず、ケミカル工法というのは、薬剤を土壌と家屋の木材部分に散布してシロアリを撃退するという手法です。  
効き目が早くてコストが安いという利点がある一方で、健康に対する影響と臭いが気になるという難点があります。

一方のベイト工法は、ベイト剤という毒餌を巣の中に持ち帰らせて一網打尽にしようという手法です。  
毒には脱皮を阻害する働きがありますが、もともと脱皮をしない哺乳類には作用しません。

そのうえ、ケミカル工法よりも確実性が高いのが大きなメリットです。  
その代わり、コストが高くて効き目が遅いというデメリットがあります。

自分の家の状況を考えて、より適した方法を選択するのが賢明だといえるでしょう。

まとめ

木造かそうでないかに関わらず、建築物はすべてシロアリの被害にあう可能性を有しています。
なぜなら、鉄骨の住宅の内部にも木材は使用されており、また、発泡スチロール製の断熱材を好んで食べるなど、シロアリの食性自体も予想以上に幅が広いからです。

こうしたシロアリから家を守るためには、基礎工事における一本打ち、防除工事としてのケミカル工法やベイト工法といった手法があります。

いざ被害にあってから後悔することがないように、シロアリについてはあらかじめ対策を立てておくことをおすすめします。