シロアリ被害は、木造住宅をはじめ、鉄筋コンクリート造や軽鉄骨造でも報告されています。
つまり、賃貸アパートに多い木造や軽鉄骨造でも被害になることは十分に考えられます。
賃貸アパートでシロアリが発生したときに、借り主や貸し主はどうすればいいのでしょうか。
それぞれの立場となって対処法を確認してみましょう。
また、両者間で発生するトラブルについても紹介します。

目次

シロアリが発生するとアパートはどうなる?

賃貸アパートのイメージ

国内で目撃されるのは、「ヤマトシロアリ」と「イエシロアリ」、さらに「アメリカカンザイシロアリ」の3種類が代表的です。  
特にヤマトシロアリとアメリカカンザイシロアリは、コロニーと呼ばれる巣を積極的に作らない特徴をもっています。

一方で、イエシロアリは数十万匹を超える巨大なコロニーを形成することもあります。  
シロアリがアパートで発生した場合、コロニー内のシロアリは想像以上の数に膨れ上がっています。  
そのため、目に見えるシロアリだけでなく、コロニー内の駆除が大切です。

しかしヤマトシロアリやアメリカカンザイシロアリの場合、駆除に気づくとコロニーから逃げ出して別の場所に住みつきます。  
そのために、薬剤を散布しても効果が発揮できずに長期化してしまうケースも珍しくありません。

シロアリは柱や壁の中を食いつくし、建材の強度を著しく下げてしまいます。  
実際にアパートで暮らしていると、キッチンやバスルームなどの水まわりで床が軋んだりブヨブヨと柔らかくなったりするのを感じるでしょう。

このような症状を発見したら、早めの対策を講じないと建材がもろくなるだけでなく、地震などで倒壊してしまう危険性も否定できません。

シロアリ駆除の一般的な方法

シロアリ駆除には、大きく分けて2つの方法があります。

1つは薬剤散布によるシロアリの駆除です。  
床下などの湿っぽく薄暗い場所を好むシロアリは、蟻道と呼ばれる5ミリ幅のトンネルを通路として作ります。  
特に地表部から柱や壁の角などに見られるので、シロアリ被害が起きているのかを確認する際のポイントです。  
薬剤散布では、地表部の土質を変化させてシロアリを寄せ付けないようにしたり、通り道となっている建材内部に薬剤を注入するなどしてコロニー内のシロアリを駆除したりします。

もう1つの方法は、ベイト工法と呼ばれ、ステーションと呼ばれる筒に薬を入れておき、それを家の周りの地表面に埋め込みます。  
シロアリがエサを与え合う習性を利用したもので、持ち運んだ薬をコロニー内で他のシロアリも食べることで隠れているシロアリを駆除することが可能です。

注意したいのは、比較的短期間で駆除の効果が期待できる薬剤散布は、ときに強い臭いを伴います。  
個人差はありますが、アパートに住みながら床下のシロアリ駆除をすると数日間は気になるかもしれません。

一方のベイト工法は、人や犬猫などにも安全です。
しかし、実際にコロニー内のシロアリを駆除できるまで長期間になることもあります。

賃貸アパートでシロアリ被害が発生したときに注意すること

シロアリの発生は、偶発的に起こるので誰も予見することはできないでしょう。
その意味でも、アパートのオーナーは外壁やその他の修繕同様にシロアリ駆除費用も負担することになります。

しかし、借り主側でシロアリが好む段ボールなどを屋内外に長期間放置し発見を見過ごしたり、誘発させたりした場合であれば、駆除費の負担を求められることもあります。
実際にどちらが駆除費用を負担するべきかは、借り主の過失度で変わりますが、このようなトラブルにならないためにも、賃貸借契約を交わす際に責任の所在を明記しておくことも大切です。

借り主側も勝手にシロアリ駆除を専門業者に依頼するのではなく、発見後は速やかに不動産仲介業者や貸し主に相談しましょう。

シロアリ駆除は火災保険でもまかなえる?

アパートの賃貸借契約を結ぶと火災保険に加入させられることが一般的です。
もちろん、加入は強制ではありませんが、借り主側が断れば賃貸借契約そのものが結ばれないこともあります。
というのも、不動産は大きな資産価値があり、不注意で火事や漏水などを発生させると、家主だけでなく他の借り主にも大きな影響を与えてしまうからです。

そんな火災保険ですが、結論から先にいえば、シロアリ被害は補償対象になっていません。
それだけに貸し主なら少しでも早くシロアリ駆除をしたいはずですし、放置や被害を拡大させたとして借り主に駆除費用を請求するケースも少なくありません。

借り主としても羽アリなどを大量に見つけたときや床材の異変などを感じたときは、速やかに相談する心づかいが求められます。

まとめ

シロアリは少し湿度のある薄暗い床下などを好みます。

予防策として、床下に薬剤を散布するなどが効果的です。
しかし、それでもシロアリの発生を完全に防ぐことはできません。

もしもシロアリを発見したら、被害を拡大させない対策が必要です。
実際に貸し主と借り主で駆除費用の負担割合でトラブルになってしまうことがあります。

一般的には、シロアリ駆除費用は貸し主が負担します。
ただし、シロアリ被害を誘発させたり拡大させたりしていた場合には、借り主がその過失割合に応じて損害を負担させられることも覚えておきましょう。