シロアリは小さな昆虫ですが、家屋に被害を与える恐れがあります。
場合によっては、家屋が倒壊してしまう危険性もあるでしょう。
そのため、シロアリの被害が拡大する前に症状を発見し、なるべく早く対処しなければいけません。

しかし、シロアリがどんな生き物で、どのような症状に気をつけるべきか十分に理解しているという人は少ないのではないでしょうか。
そこでここでは、シロアリの生態と、注意したいシロアリ被害の症状について詳しく解説していきます。

目次

シロアリとはどんな生き物?

シロアリとは、主に木材や木の葉などを食べて生きている昆虫です。
普段は木や土の中に潜んでいるので、なかなかその姿を目にする機会はありません。

しかし、地球上に存在するシロアリの数は非常に多く、自然界において、生態系の重要な役割を担っています。
シロアリは木材などに含まれるセルロースを栄養とし、倒れた樹木などを食べて土に還すという働きをするのが特徴です。そのため、別名「森の分解者」と呼ばれることもあります。また、樹木を栄養とするシロアリを黒アリなどが捕食し、植物性タンパク質が動物性タンパク質に変化するという循環も形成されています。

このように、自然界の食物連鎖で大切な役割を持つシロアリですが、その存在が人間の生活に入り込むと、途端に危険な昆虫として扱われるようになります。
家屋に使用されている木材を食べ、倒壊させる恐れさえあるシロアリは、人間にとって害虫だといえるでしょう。

また、シロアリは、実は一般的な黒アリとは違う種類の昆虫に位置づけられています。
シロアリと黒アリは姿がよく似ているものの、シロアリはゴキブリの仲間に、黒アリはハチの仲間に分類されます。ゴキブリの仲間と聞くとなんだかぞっとしますよね。

種類も驚くほど多く、地球上にはおよそ2500種ものシロアリが生息しています。
そのうち、日本での生息が確認されているのはおよそ22種、家屋に被害を与えるのは主に「ヤマトシロアリ」と「イエシロアリ」、「アメリカカンザイシロアリ」と「ダイコクシロアリ」の4種です。

侵入の痕跡を発見したら要注意!

シロアリ被害がないか家をチェックするイメージ

もしもシロアリが侵入した痕跡を発見したら、シロアリ被害を疑ってみたほうが良いでしょう。
すでに家屋の見えない部分で被害が起こっている可能性があります。

シロアリ侵入の痕跡としてわかりやすいのは「蟻道」です。
蟻道とは、シロアリが自らの排泄物や餌の食べ残し、土などで作った通り道を指します。
トンネルのような形状をしており、家屋の基礎部分や土台部分、設備配管などに沿うようにして作られます。
光や乾燥が苦手なシロアリは、この蟻道の中を通って、地中から餌の木材までを行き来します。
シロアリは家屋の外側や基礎部分が鉄筋やコンクリートであっても、家屋内に餌となる木材があれば、蟻道を作って侵入してきます。
木造住宅ではないから大丈夫だと高をくくっていると、思わぬ被害を受けることがあるでしょう。

また、羽アリが家屋の中にいたり、家屋の周囲を飛び回っていたりした場合も、シロアリ被害の危険性が高いといえます。
羽アリは羽の生えたシロアリのことで、新しい巣を作り、繁殖する能力を持っています。
外部から飛来した羽アリはこれから新たな巣を作る危険がありますし、家屋の内部から発生した羽アリなら、すでに家屋内に成熟したシロアリの巣が存在するということになります。

木造住宅で後者のケースであれば、もう手遅れなほど被害が広がってしまっている状況が予想されます。

生活環境に違和感があったら気をつけよう

蟻道や羽アリが見つからなかったとしても、普段の生活で違和感を覚えたら、シロアリの被害を疑ってみるのが賢明です。

例えば、家屋内の特定の場所を歩いていて、床がへこむような症状を感じたら、注意しなければいけません。
床部分をシロアリに食べられてしまっている兆候です。

それから、問題なく開け閉めできていたドアや襖や雨戸などの動きが急に悪くなったら、シロアリ被害の可能性があります。
シロアリに食べられて強度が弱くなったことで、柱や床や壁が歪んでしまっているかもしれません。

シロアリは湿気を好みますから、キッチンや浴室、トイレや洗面所などといった湿気の多い場所でこうした症状が起こっていたら、特に気をつける必要があるでしょう。
ただし、木造住宅であれば、家屋のどこでシロアリ被害が起こっても不思議ではありません。

壁や柱を叩いてチェックしてみよう

普段の生活では気づきにくいシロアリ被害の症状として、壁や柱の空洞化が挙げられます。
シロアリに食べられて内部に空洞ができている壁や柱は、叩くと空洞部分で音が反響します。
金槌で叩いてみたり、他の壁や柱を叩いた音と比べてみたりするとわかりやすいでしょう。

もしも手で押しただけで壁や柱がへこんでしまうようなら、浸食被害がかなり進んでいる状況です。
家屋を支えるパーツの強度が弱くなると倒壊の恐れもあるので、定期的に壁や柱を叩いてチェックしてみたほうが良いでしょう。

まとめ

シロアリ被害は放っておくと、家屋に甚大なダメージを及ぼします。
そのため、シロアリの生態や、シロアリ被害の症状をしっかりと理解しておくことが重要だといえるでしょう。
上記の症状以外にも、木材部分に変色があったり、室内や押し入れ内にカビ臭さや湿気がこもっていたりした場合も、被害を疑ってみるのが無難です。

また、自宅に症状が見られなくても、近所の家の木材部分に蟻道があった、近所でシロアリ駆除が行われたといったケースも要注意です。
シロアリ被害の可能性があるときは、すぐに対処するようにしましょう。
自分の手に余ると感じたら、ただちにプロに相談する必要があります。