ハチによる被害は毎年全国各地で起こっています。
単に強い毒や鋭い牙を有している動物なら他にもいますが、ハチが恐ろしいのは人の住んでいる場所に巣を作り、下手に刺激すると一斉に襲ってくる点です。
したがって、ハチの巣を見つけた場合は一刻も早く駆除をしたいところです。

ただ、ハチにもさまざまな種類が存在します。
たとえば、ミツバチなどは蜂蜜やろうそくの原料を提供してくれる益虫であり、性格も比較的温和だといわれています。
こうしたハチも駆除をしなければならないのかと疑問に思う人もいるのではないでしょうか。

そこで、日本に生息するハチの種類を紹介しつつ、それぞれ駆除するべきかどうかについての解説をしていきます。

目次

大人しくて毒が弱くても集団で襲ってくると危険なミツバチ

確かに、ミツバチはめったなことでは人を攻撃しない大人しいハチです。
だからといって、絶対に安全かといえばそういうわけではありません。

普段は大人しくても、巣に近づくものに対しては敵だと認識して激しい攻撃性をみせるからです。
しかも、ミツバチの針は攻撃対象に刺さると体から抜け落ちてしまう性質があります。
すると、そこから仲間を呼び寄せる匂いが辺りに広がっていきます。
そうなると、たちまち何百匹というハチに囲まれて体中を刺されることにもなりかねません。

ミツバチの毒はそれほど強力なものではありませんが、大量に刺されるとアナフィラキシーショックによって死に至るケースもあるのです。
また、多くの種類のハチは冬になると女王蜂以外は死んでしまいますが、ミツバチは集団で冬を越します。
そのうえ、ミツバチは冬になると攻撃性が高くなるという厄介な性質をもっており、巣に軽い震動が加わっただけでも一<斉に襲い掛かるようになります。

しかも、ミツバチによる被害は人を襲うといったことだけではありません。
飛行しながら排泄をする性質があるため、近くに巣があると洗濯物や壁などが糞だらけになってしまうのです。
さらに、屋根裏や壁に蓄積された蜜や死骸から流れる体液なども汚染の原因となります。

したがって、ミツバチの巣を見つけた場合は、早急に駆除するのが賢明です。
また、益虫だから駆除するのは忍びないという場合には、養蜂所に連絡して引き取ってもらうという手もあります。

一見大人しく見えるミツバチも安全ではない

飛ぶのが苦手で穏やかな性格でも出会いがしらの遭遇が危険なアシナガバチ

アシナガバチの性格は比較的大人しく、しかも空中を飛び回るのが苦手です。
小回りの利いた素早い動きができないのです。
そのため、単独で飛んでいるアシナガバチが人を刺すということはほとんどありません。
また、巣の大きさもミツバチに比べるとごく小規模なものです。

その代わり、アシナガバチの毒はミツバチよりも強力なため、アナフィラキシーショックを引き起こす可能性はより高くなります。
しかも、人の目線より低い位置によく巣を作るので、気がつかずに近づいて刺されてしまうことがあります。

特に、庭の剪定作業や掃除中に木々の間にできた巣を触ってしまい、襲われるといった事故が毎年多発しているのです。
そのため、家の敷地内でアシナガバチを何度も見かけるようであれば巣を探して駆除を行う必要があります。

非常に危険!専門業者や自治体に相談が必要なスズメバチ

スズメバチは毒性、攻撃性が共に強くて非常に危険なハチです。
事故件数も他のハチに比べて群を抜いています。

日本には16種類のスズメバチが生息していますが、その中でも特に被害が多いのがオオスズメバチ、キイロスズメバチ、コガタスズメバチ、ヒメスズメバチの4種類です。
ちなみに、オオスズメバチは最も毒性が強いうえに飛行速度は40キロに達するため、一度狙われると逃れるのは困難です。

また、キイロスズメバチは極めて凶暴性が高いことで知られています。
いずれにせよ、スズメバチの巣を見つけた場合には一刻も早く駆除を行う必要があります。

ただし、スズメバチの駆除は非常に危険です。
女王蜂しかいない春先であればハチが活動できない夜に殺虫剤を散布して駆除してしまうという手もありますが、巣が大きくなってしまうと手に余るようになります。

そういう場合は無理をせず、自治体か専門業者に相談するようにしましょう。

まずは、一安心?危険度の低いハチ

ミツバチ、アシナガバチ、スズメバチといったよく知られているハチはいずれも危険で、早急な駆除が必要ですが、中には危険度が低いハチもいます。

たとえば、クマバチ、ヒメバチ、ジガバチ、コバチなどは集団生活を行わずに単独で行動するため、こちらから攻撃をしない限り刺すことはまずありません。
もちろん、安心して生活するためには巣を発見し、駆除するのが望ましいのですが、群れで襲ってくることはないので危険度の低いハチだといえます。
また、ハチには細腰亜目と広腰亜目の2種類が存在しますが、この内、人を刺す可能性があるのは細腰亜目のメスだけです。

一方の広腰亜目のハチには針自体が存在しません。
この見分け方は非常に簡単で、腰が大きくくびれているのが細腰亜目のハチで、腰にくびれがないものが広腰亜目のハチです。

まとめ

家の敷地内でハチを見かけた場合にはまずその種類を特定し、早急な駆除の必要があるかどうかを判断することが大切です。

その際に最も重要なポイントは腰のくびれです。
腰が大きくくびれている、ミツバチ、アシナガバチ、スズメバチは、集団で生活し、人を襲う危険性があるため、すぐに駆除を検討する必要があります。

ただ、スズメバチの駆除には大きな危険が伴いますし、ミツバチやアシナガバチといった比較的大人しいハチでも巣が大きくなってしまうと簡単には駆除できなくなります。
そういう場合は無理をせずに自治体や専門業者などに相談するようにしましょう。