暖かくなると活発に動き出す「ハチ」。
気をつけていても、ふとした瞬間に刺されてしまうことは少なくありません。
でも、正しい応急処置を知っていればいざというときに安心です。
そこで、ハチに刺されたときの対処法を紹介します。

目次

ハチに刺されるとどんな症状が表れる?

ハチに刺されたときの症状は「局所症状」と「全身症状」の2種類です。
局所症状は刺された部分の痛みや腫れで、数時間から1日で痛みは消えます。
その後も、しこりやかゆみは残りますが、数日間で消えていきます。
全身症状は注意が必要で蕁麻疹や血圧低下、呼吸困難などの症状が表れます。
また、ショック死の可能性もゼロではありません。

全身症状は、特にスズメバチに刺されたときや毒の量が多いときに表れやすいです。

また、以前ハチに刺されたことがある人も全身症状が表れる可能性があるので注意してください。
全身症状が出たときは、ハチの毒によるアナフィラキシーショックを起こす可能性があるので速やかに救急車を呼びましょう。

ハチに刺されるとどうなる?

正しい応急処置とは?

ハチに刺されたときは、まずその場から離れて安全を確保します。
このときに焦って激しく動くと、他のハチを刺激するので危険です。
安全な場所で患部を確認し、針が残っていたらピンセットなどで取り除きます。
針が残るのは基本的にミツバチだけで、アシナガバチやスズメバチに刺されたときはほとんど残りません。

その後、患部を絞るようにして毒を体内から出し、流水で洗い流します。
ハチの毒は水に溶けやすいたんぱく質なので、よく洗い流せば痛みや腫れを緩和できる可能性があります。
よく流したら患部に虫刺されの薬を塗りましょう。
虫の毒によるアレルギー症状を抑えてくれます。

副腎皮質ホルモン含有の抗ヒスタミン軟膏を使用します。
一般的な虫刺されの薬にはこの成分が含まれていることが多いです。

薬を塗ったらガーゼで包んだ保冷剤などで患部を冷やします。
冷やすことで周辺の血管が収縮し、ハチの毒が血管の中に入るのを遅らせることができます。

これらの応急処置をしたら早めに医療機関に行きましょう。
局所症状の場合は皮膚科で、全身症状の場合はアレルギー内科を受診します。

やってはいけない応急処置

ここで、やってはいけない応急処置も紹介しておきます。
ミツバチの針を抜く際、指で抜くのは避けてください。
指でつまむと毒液が入った袋を圧迫して、さらに毒が入り込む可能性があります。

また、ハチの毒を体内から出すときに、口で吸い出すのは危険です。
なぜなら、毒を口の中に入れることになってしまうからです。
虫歯や歯茎から毒が体内に侵入し、二次被害が生じる可能性があります。

それから、ハチに刺されたらおしっこをかける、という話を聞いたことがある人もいるかもしれません。
これは、逆にバイ菌が付いて炎症を起こしてしまう可能性があります。
ちなみに、おしっこをかける説はハチの毒が強い酸性と考えられていた頃の対処法です。
実際のハチの毒はたんぱく質なので、アルカリ性のおしっこで中和はできません。

そして、患部に水ぶくれができても潰さないよう注意してください。
水ぶくれの膿が周辺に付くと、とびひして湿疹やかゆみが広がってしまいます。

ハチに刺されないよう予防法を知っておこう!

最後に、ハチに刺されにくくするための対処法もご紹介します。注意する点は2つです。

1つ目は「色に気をつける」ことです。黒い色を見るとハチは本能で敵と認識します。
ハチには白黒の世界に見えているので、黒だけでなく紺や紫など色の濃い服は黒と判断されて危険です。
逆に、白やピンク、黄色といった明るい色にはほとんど反応しません。
髪の毛の黒に反応することもあるので、明るい色の帽子を被るのも手です。

2つ目は「においに気をつける」ことです。
汗臭さや体臭はもちろん、香水やヘアスプレーのにおいにも反応します。
夏の暑い時期などは、汗のにおいや制汗スプレーのにおいに反応することがあるので気をつけてください。
家の周辺にハチが寄ってこないよう注意することも大切です。

例えば、庭やベランダに強い香りの柔軟剤を使用した洗濯物を干さないよう気をつけましょう。
特に、花の香りがする柔軟剤にはハチが寄ってきやすくなります。
また、軒下や天井の中、普段あまり開閉することがない窓はハチが巣をつくりやすいので、こまめにチェックしてみてください。

ちなみに、ハチはハッカや木酢液のにおいが苦手です。
出かけるときにはハッカ油のスプレーを使用したり、ハチの巣ができそうな場所に木酢液を置いたりするのも有効です。

まとめ

ハチに刺されたら慌てずその場から去り、安全な場所に移動してから応急処置をします。
全身症状が表れたときは、危険なので躊躇せず救急車を呼びましょう。
してはいけないことに注意して、正しい応急処置をしてください。
ただし、あくまでも応急処置なので、医療機関を受診することを忘れてはいけません。

ハチの活動が活発になる暖かい時期になったら、服の色やにおいを意識してみてください。
万が一のときの対処法を覚えておき、いざというときに役立てましょう。