大切な我が家がシロアリの被害に遭ったなら、一刻も早いシロアリ駆除作業が必要です。

しかし、駆除作業にはどうしても薬剤を使用しなければなりません。
建具への悪影響はないのか、小さい子供や病弱な人などへの健康被害は大丈夫かと、色々心配になることもあるでしょう。

本記事では、シロアリ駆除に使用される薬剤の種類とその安全性について、詳しく取り上げます。

目次

主な薬剤の種類

多くのシロアリ駆除業者では、安全性の高い薬剤を使用するため「公益社団法人 日本シロアリ対策協会」や「公益社団法人 日本木材保存協会」が認定したものを選んで使用しています。
この両者が認定した薬剤であれば、シロアリ駆除と木材保護という両方の観点から見て安全なものということになります。

現在シロアリ駆除に使われている薬剤の中には、以下のような種類があります。

  • ・カーパメイト系(除草剤などにも含まれる薬剤)
  • ・ピレスロイド系(殺虫剤に含まれる、即効性のある薬剤)
  • ・ネオニコチノイド系(天然ニコチンを含む、高い安全性が特徴の新系統薬剤)
  • ・フェニルピラゾール系(殺虫効果が極めて高いが、人やペット、魚類への影響大)
  • ・フェニルピロール系(細胞を餓死状態にさせる遅効性の薬剤。乳幼児や妊婦がいる家庭では注意が必要)
  • ・ホウ素化合物(いわるゆホウ酸。人やペットへの影響は低い)

次項では、上記のうちシロアリ駆除の現場でよく使われる3種類の薬剤について解説します。

薬剤の種類別に見る特色と安全性

アレルギーを持つ人やペット、小さい子供がいる家庭でも、安心して使用できる薬剤のニーズが高まっていることもあり、近年、薬剤の安全性は飛躍的に向上していると言えます。
しかし、薬剤別の特色や長所短所をよく把握しておけば、より安心して施工が出来るでしょう。
前項で紹介したシロアリ駆除薬剤のうち、3種類を取り上げて紹介します。

・カーバメイト系
有効成分「フェノブカルブ」がシックハウス症候群の原因物質となる可能性がある、と厚生労働省から指摘されたため、濃度が指定されています。
熱や光に強くシロアリへの殺傷力が高いものの、それだけ人体やペットへの影響も高いことが難点です。
・ピレスロイド系
即効性が高いのが長所ですが、魚類に対する毒性が高いため、川や池のそばの建物に使用するのは難しい可能性があります。
シロアリに対して強い忌避効果があるため、薬剤散布のムラがあるとそこから再侵入してしまうことがあります。
また、アレルギー性の喘息を引き起こす可能性があるため、注意が必要です。
・ネオニコチノイド系
農薬などに使用されている比較的新しい系統の薬剤です。
現在はこの系統の薬剤が、多くのシロアリ駆除薬剤に含まれており、主流となりつつあります。
昆虫類のみに作用するため、人やペットなどへの影響が極めて少なく、安全性が高いものです。
忌避効果はありませんが、シロアリの体に薬剤が付着し、巣に持ち帰る「ドミノ効果」により、巣を丸ごと根絶することが期待できる点も長所です。

全体的に見て安全性は高いものの、名前の通りニコチンを含む薬剤のため、胎児や赤ちゃんへの影響が懸念されています。
赤ちゃんや妊婦さんのいる家での施工を検討中なら、業者とよく相談する必要があるでしょう。

前述の「日本シロアリ対策協会」と「日本木材保存協会」の両者が認定する薬剤でも、ネオニコチノイド系薬剤が多く含まれ、最近では多くの業者がこの系統の薬剤を使用しています。

まとめ

現在では薬剤に対する安全意識が非常に高まり、殺虫効果と人体への安全性を兼ね備えた薬剤が使用されることが多くなりました。
それでもリスクが皆無ではありません。

庭で菜園をしていたり乳幼児がいたりして、薬剤に対する不安が少しでもあるなら、点検や見積もりの際に業者へ相談しましょう。
薬剤や工法についてしっかり説明してくれる業者であれば、より安心して施工を任せられるでしょう。