日本には多くの種類の蜂が生息しており、人をおそう可能性があるのは主にスズメバチやアシナガバチ、ミツバチなどです。
これらの蜂にはそれぞれに特徴があり、巣の形や巣を作る場所も蜂の種類によってさまざまです。
なかには攻撃的なものや強い毒を持つものいるため、巣を見つけたら速やかに対処するようにしましょう。

そこで、主な蜂の巣の特徴や、巣を見つけたときの対処方法について解説します。

目次

丸くてマーブル模様の蜂の巣は危険!コガタスズメバチやキイロスズメバチ

庭の木や軒下などに、丸くてマーブル模様の蜂の巣ができている場合は、「コガタスズメバチ」や「キイロスズメバチ」である可能性が高いです。
コガタスズメバチは、見た目が「オオスズメバチ」という最も凶暴なスズメバチに似ていますが、スズメバチの中では攻撃性はあまり高くありません。
巣を作り始めた初期は、巣がトックリを逆さまにしたような形をしており、徐々に丸い形に変化していきます。

巣の周りにほとんど働き蜂がいない場合、大半が巣の中にいるか、もしくは出かけています。
巣があまり大きくないことも特徴で、大きい場合でもバレーボールほどです。
葉が生い茂った木の枝に巣を作ることも多いため、庭の木の手入れなどをするときは気をつけましましょう。

キイロスズメバチは、攻撃性が非常に高い危険なスズメバチです。
見た目が鮮やかな黄色をしているため、他のスズメバチと区別がつきやすいです。
キイロスズメバチには途中で巣を引っ越す習性があり、最初は屋根裏や壁の中など、狭い空間に巣を作ります。
しかし、仲間が増えてくると、今度は木の枝や軒下などに急速に新しい巣を作り始めます。
新しい巣が作られる時期は、キイロスズメバチが活発になる夏以降がほとんどのため、この時期に急に大きな丸い巣ができていたら注意しましょう。

また、スズメバチの中で最も大きな巣を作ることもキイロスズメバチの特徴です。
その大きさは直径50~60cmほどで、なかには1mを超えるものもみられます。
巣の外側に多くの働き蜂が群がっており、近づくと攻撃をしてきます。

外からは気づきにくいため要注意!オオスズメバチやモンスズメバチ!

「オオスズメバチ」は、攻撃的で毒が強いため、スズメバチの中で最も危険とされています。
体も大きく、かむ力も強いため、攻撃をされると強い痛みをともないます。
巣は土の中や木の根元などの閉鎖的な空間に作られることが多く、外からは気づきにくいことが特徴です。
1つの巣におよそ500匹ものオオスズメバチが住んでいるといわれています。
まれですが、民家の床下に巣を作られたケースもあります。
巣に気づかずに近づいてしまい刺される人が多いため、山や森の中に行くときは特に注意が必要です。

「モンスズメバチ」も木の幹の中や民家の屋根裏など閉鎖的な空間に巣を作るため、巣があることに気づきにくいことが注意点です。
毒はあまり強くはない方ですが、攻撃的で、日本にいるスズメバチの中でめずらしく日没後でも活動できるという特徴を持っています。
そのため、夜にスズメバチを見かけたという場合は、モンスズメバチである可能性が高いでしょう。
また、キイロスズメバチ同様、モンスズメバチには引っ越しをする習性があります。
まれに軒下などの開放的な空間を引っ越し先に選ぶことがあるため、急に巣が作られている場合はモンスズメバチを疑う必要があるでしょう。

他に、気づきにくい場所に巣を作るスズメバチの種類には、「クロスズメバチ」や「ヒメスズメバチ」がいます。
クロスズメバチは名前の通り見た目が黒く、比較的おとなしい性格です。
土の中に巣を作る習性があり、1つの巣に800~1500匹ほど住んでいます。
「ヒメスズメバチ」は、木の空洞や岩のすき間、屋根裏などに巣を作ります。
巣が釣り鐘のような形をしていること、スズメバチの中では最も小さな巣を作ることが特徴です。
働き蜂の数が少ないことから、人がおそわれるケースはあまり多くありません。

まるでシャワーヘッド?巣穴がむき出しになっているのはアシナガバチ!

アシナガバチはスズメバチほど攻撃的ではありません。
しかし、刺されると痛みをともないますし、アナフィラキシーショックを起こすこともあるため注意が必要です。
日本には数多くの種類のアシナガバチが生息しています。
また、ほとんどのアシナガバチの巣は巣穴がむき出しになっていることが特徴です。
形はシャワーヘッドに似ていて、巣は軒下やベランダ、物置、窓枠、室外機などさまざまな場所に作られます。

主に民家に巣を作る種類は「セグロアシナガバチ」「フタモンアシナガバチ」「コアシナガバチ」などです。
セグロアシナガバチは体長が21~26mmほどで、アシナガバチの中では最も被害が多くみられる種類です。
1つの巣にある巣穴の数は200~400個ほどで、住んでいる蜂の数は50匹ほどですが、多い場合は数百匹におよぶこともあります。

フタモンアシナガバチはお腹に黄色の丸い模様が2つあることから、この名前がつけられました。
働き蜂の数は50匹ほど、巣穴の数が300~1000個と多いことが特徴です。
多くのアシナガバチが巣穴の入り口が下にくるように作るのに対して、フタモンアシナガバチの場合は垂直に巣を作ることがあります。
そのため、横からでも巣穴が見える場合は、フタモンアシナガバチの可能性が高いでしょう。
「コアシナガバチ」は体長が11~17mmほど、色は赤褐色で、アシナガバチの中でもやや攻撃的な性格です。
巣の形状が特徴的で、反り返った形をしています。

民家にほとんど巣を作ることはあまりないものの、他に「キアシナガバチ」「キボシアシナガバチ」「ヤマトアシナガバチ」といった種類もいます。
これらのアシナガバチは雑木林や緑地に好んで巣を作るため、近くにこのような場所がある場合は注意しましょう。

板状の巣はミツバチ!1つの巣に5万匹いることも!

日本に生息する主なミツバチには、「ニホンミツバチ」と「セイヨウミツバチ」がいます。
ミツバチは蜂の中でもおとなしい性格のため、好んで攻撃をしかけてくることはありません。
また、受粉を手伝うという役割もあるので、危害がなければ積極的に駆除をする必要はないでしょう。
しかし、ミツバチにも毒はあるため、刺された場合にはアナフィラキシーショックを起こす可能性はあります。
他に、ミツバチのフンや死がいによって住宅が汚染されるといった被害もみられるため、必要に応じて駆除を検討しましょう。

ミツバチの巣の特徴は、屋根裏や壁の中といった閉鎖的な空間に作られることです。
また、巣の形も独特で、天井などから板状のものが垂れ下がった形をしています。
板状の巣が何枚か並んでいることもあり、巣に住んでいる蜂の数が多い場合で5万匹以上になることも特徴です。
さらに、ミツバチはスズメバチやアシナガバチと違い、女王蜂も働き蜂も越冬できるため、同じ巣を何年にも渡って使い続ける習性があります。
作り始めたばかりの巣は白い色ですが、蜂達が蜜を集めるにつれてオレンジ色に変化します。

ミツバチの「分蜂」を、巣ができたと勘違いするケースも少なくありません。
分蜂とは、春になって新しい女王蜂が誕生すると、旧女王蜂が働き蜂の約半数を連れて新しい巣を探す行動のことです。
大量の蜂が木の枝などにビッシリと身を寄せ合った状態でとまっているため、蜂の巣ができたように見えがちですが、ほとんどの場合は数日で移動するため心配はありません。
また、分蜂の時期のミツバチが人をおそったケースもほとんどないため、そっとしておきましょう。
ただし、何日経っても移動しない場合は、その場所に巣が作られてしまう可能性が高くなります。

蜂の巣を見つけたときの対処方法とは?必ずプロに相談を!

庭の木や軒下、屋根裏など、生活圏内にスズメバチやアシナガバチの巣を見つけた場合、安全のために駆除が必要です。
ミツバチは人間にとっては、利益をもたらしてくれる昆虫のため、被害がなければそっとしておきましょう。
蜂に困っている人の中には自分で駆除をしようと試みる人もみられますが、上記で説明した通り、スズメバチやアシナガバチ、ミツバチには毒があります。
そのため、蜂に刺されてアナフィラキシーショックを起こす点はリスクです。
もちろん、刺されると痛みが走りますし、スズメバチは興奮するとかみついてくることもあるため、自分での駆除はやめましょう。

また、蜂の巣を屋根裏や壁の中に作られてしまい、自分では場所が特定できないというケースもあります。
さらに、蜂が巣を庭の木などの高い場所に作ってしまった場合、はしごなどを使う必要性が生じます。
高い場所の作業には、落ちるといったリスクがあるため、蜂に慣れていない人が作業を行うのはとても危険です。
これらの困難やリスクを回避するためにも、害虫の駆除を行ってくれる専門業者に依頼することをおすすめします。
自分や家族の身を守るための、最善策といえるでしょう。

しかし、専門業者に依頼する場合、費用がどれくらいかかるのかを心配する人も少なくありません。
費用は蜂が巣を作った場所など、状況に応じて異なります。
そのため、まずは見積もりを依頼すると良いでしょう。
自分で駆除をする場合でも、スプレーや防護服などを購入する必要がありますし、アイテムを購入するためには時間も手間もかかります。
専門業者には、このような時間や手間も省けるというメリットもあるため、まずは相談をしてみましょう。

巣を作らせないために!蜂の巣の予防方法

普段から蜂に巣を作らせないよう、予防をしておくことも大切です。
そのためには、まず蜂の活動時期を知っておく必要があります。
スズメバチやアシナガバチが活動を開始するのは3~5月ごろです。
最初は女王蜂が1匹で活動し、巣作りをする場所を探します。
巣作りは、最初に女王蜂1匹で行い、最初の幼虫が成虫になるまでは子育ても女王蜂がします。

蜂が最も活動的になるのは、成虫の数が増える7~10月ごろです。
種類によっては巣も大きくなり、駆除も難しくなります。
しかし、10~12月ごろになると働き蜂達は活動を終え、死んでしまいます。
女王蜂も越冬をするために、木の幹の中や土の中などに移動し、巣は空の状態となるのです。
そして、「再び春が来ると活動を開始する」というサイクルになります。

そのため、3~5月ごろに女王蜂に蜂の巣を作らせないことがポイントです。
この時期にベランダや庭などで蜂を見かけるようになったら、市販の虫よけグッズなどを使って撃退しましょう。
蜂の嫌いな「木酢液」を置く方法も有効です。

また、「蜂の好む場所を作らない」「好むものを置かない」ということも重要です。
閉鎖的な空間が好きな蜂の場合は、庭に置いている棚などの粗大ゴミに巣を作ることがあるため、撤去しましょう。
壁のすき間を埋めたり、屋根裏への通風口に網目の細かい金属ネットを張ったりすることで屋内への侵入も防げます。
蜂は甘い香りを好むため、ジュースが入っていたペットボトルや空き缶などを、ベランダや庭に置きっぱなしにするのもやめましょう。

まとめ

蜂は種類によって巣の特徴が異なるため、特徴を知っておくことで、どんな蜂が生息しているのか判別できる可能性が高くなります。
なかには攻撃的で毒が強い危険な蜂もいるため、速やかに駆除をしましょう。

自分での駆除を検討する人もいますが、専門業者に任せた方が安全で安心です。
専門業者に蜂の駆除を依頼して、快適な毎日を送ってみてはいかがでしょうか?